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東海道五十三次 歩いてます。→歩きました。

2015年秋 お江戸・日本橋から歩き始め、2016年秋 京・三条大橋まで踏破しました。

33. 芦ノ湖と富士山に魅せられて

箱根の山を登り 芦ノ湖で感慨深く夕暮れの空を見上げたのは ちょうど1週間前のことでした。
今日、「箱根八里」を完歩します。

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2015年12月12日 (土)
第7日目
朝8時、小田原駅から「元箱根」行きのバスに乗り込みます。
このところ数回、小田原駅のお世話になりました。
今日の夕方にはもう、私は箱根を越えて三島にいるはず。
なんだか信じられないような心持ちです。

バスは箱根湯本の三枚橋から 塔ノ沢、大平台、宮ノ下、小涌谷を経て 元箱根に向かいます。
前回歩いた南側の旧東海道とは異なり、バスが通る北側の国道1号箱根駅伝のコースでもあります。

曲がりくねった狭い道をバスは登って行きます。
お正月には駅伝の選手たちが この箱根の山を駆け抜けるのです。
車体の揺れに身を任せながら 3週間後に思いを巡らせます。

車窓から見える箱根の山々は、きりりとした冬の空に彩り鮮やかな表情を見せています。

今日も 思い出深い1日になりそう。
そんな予感を胸に、元箱根のバス停に降り立ちます。
時刻はもうすぐ朝9時です。

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先週の夕暮れ時から一転、朝の清々しい空気に包まれた芦ノ湖で深呼吸します。
残念ながら富士山は雲に隠れています。
湖面に映る「逆さ富士」に期待していたのですが…

さて、旧東海道の杉並木を歩いて行きましょう。
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江戸幕府が旅人のために道の両側に植えた杉は、芦ノ湖周辺に約420本 残されているそうです。

杉並木を通り過ぎ、「箱根離宮」の跡地にある「恩賜箱根公園」に向かいます。

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かつての箱根離宮を思わせる展望館。

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もうすぐクリスマスです。

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ちょうど富士山の部分だけ、厚い雲に覆われています。

残念に思いながらも あきらめきれずに、広い公園内を散策します。
そして30分ほど経った頃でしょうか…

!!

富士山が顔を出しました。
早く早く!急いで!
自らを急き立て 展望館に戻り富士山を眺め、さらには少し離れた展望スポットに移動します。
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待ってました! にっぽんいち!
芦ノ湖と富士山の共演に大感動です。

満ち足りた気持ちで公園を出ると、そこに
「箱根八里」歌碑があります。

   箱根の山は 天下の険
   凾谷関も 物ならず
   萬丈の山 千仞の谷
   前に聳え 後にさゝふ
   雲は山をめぐり 霧は谷をとざす
   晝猶闇き 杉の並木
   羊腸の小徑は 苔滑か
   一夫関に當るや 萬夫も開くなし
   天下に旅する 剛毅の武士
   大刀腰に 足駄がけ
   八里の岩ね 踏み鳴す
   斯くこそありしか 往時の武士

勇ましい曲調は 今の私の気分に符合します。
そして一見難しい歌詞ですが、箱根の山を登ることにより 実感を伴って体得することができました。

歌碑の先に進み、「箱根関所資料館」と「箱根関所跡」を見学します。

箱根関所は往時の姿に復元されており、小高い場所にある "遠見番所" からは芦ノ湖を見下ろすことができます。そして悠然と構える富士山。
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関所では
「入り鉄砲 (いりでっぽう) に 出女 (でおんな)」
"江戸への鉄砲の持ち込みと、諸大名の妻女が江戸から出ること"
に対して特に厳しい取り締まりがありました。
そして関所破りをした者は厳罰に処されたのです。

往時の旅人が手形を携行し 厳しい取り調べの末に ようやく通過を許された関所。
現代の観光客は写真を撮りながら気軽に通り抜けます。
時代は変わるものです。

お蕎麦を食べてから 先に進むと、駅伝の練習中と思われる数名の大学生が走り去り、「箱根駅伝ミュージアム」の角を右折していきます。

私も続いて曲がってみると…

富士山が目の前に現れ、箱根駅伝の中継で見たことのある光景が。

東京箱根間往復大学駅伝競走往路ゴール」の碑が建ち、テープを切る走者の姿が目に浮かぶようです。

すると先程の学生たちがイメージトレーニングをしています。
「 ○○選手! 今、1着でゴールします!!」
芦ノ湖に向けて猛ダッシュする彼に、カメラ片手に実況中継しながら声援を送る彼ら。

彼らの青春の1ページに映り込まないよう、
必死に歩道の隅に寄り フレームアウトを狙います。

さて、時刻は12時30分。
そろそろ芦ノ湖を離れて 箱根の山を下らなければなりません。

ふと足元を見ると「三島まで 14.5km」という表示があります。
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冬の夕暮れ時から逆算すると、これはもう一刻の猶予も許されません。

私は今、箱根の山にいます。